釣りのお話

スピンキャスト普及委員会委員長の釣りのお話

釣りキチ三平の奇妙な冒険  (第10話)

三平は、一平竿で魚紳に止めをさす一瞬!


三平は魚紳を失う事を知っていた!
多くのなにもかもを...




時には師として、
時にはライバルであった魚紳



親しみのあった存在...

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兄のように慕っていたのだから




もう引き返せない...



その魚紳が、今!

目の前に、自身の振り下ろすロッドによって魚紳は倒れているのだから...






谷地坊主は魚紳の鮎川財団へ連絡し
部下達に魚紳を連れて行かせるようにした

谷地坊主は白川の面倒を見ることとなる






なんなんだろう、この感じ...言葉では表現できない

三平は心の中でつぶやくのであった...


どうしてよいのか?これからどこへ進むべきなのか?
三平はもう言葉も何もかもを失った



今までの沢山の思い出が、

真っ暗な闇へと進んでいくのだから...





一平竿を片手に、トボトボと歩き出す

倉庫の脇の川へ

竿を振り下ろす



鮎釣りを始めた...
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今の三平に出来ることは釣りしかなかった



思いも記憶も全てを失った...




今まで描かれなかった

絶対に釣れることのない釣りをはじめるのであった








三平は仕掛けを投じ




ゆっくりと、目を閉じた









もう何もかもが終わったと...
















三平は港に吹く風を感じていた...
















あの時と同じ香りがした...




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かすかに、ユリの花の香りが漂う...







三平の心は暗闇から、ひとつだけ大きな白い光が広がった!




ゆっくり、目をひらくと...



ゆりっぺが、水面に漂っている

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三平は叫んだ!

『ゆりっぺ!ゆりっぺっ!!』




三平は、川へ飛び込み、ゆりっぺを追い抱きしめた!


ゆりっぺから、ほんの僅かの息を感じる



ゆりっぺはかすかな声で


『さんちゃん...逢いに来てくれたんだ...うれしい...』

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ゆりっぺは、ゆっくり力なく瞳を閉じ

涙を流した...



ゆりっぺにも、なにも残されていないことを三平は悟った


『このまま、一緒になろう...そして、永遠に結ばれよう...』


三平もそのまま、
ゆりっぺと共に海へと流れ進むことを望んだのであった


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人は誰でも未知の世界に憧れ旅にでることも立ち止まることも
時として不条理に、時として不合理に幕を引かれ
恨み、妬み、どうしようもない後悔を持ちながら
不器用ながらさまよい歩きつづける

人が人を求め、互いの存在を感じ
繋がりの先にあるものが、いかなることであったとしても
その人が存在したことを深く心に刻むことができたならば
この物語の真意を、ご理解いただけたのかと思います



Fin




















次回 釣りキチ三平の憂鬱


『ええっ!つづきがあるのか!?』


おたのしみに!

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あとがき

ナイナイナイナイ(゚Д゚)